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ガソリン価格はなぜ都道府県で違うのか — 安い県・高い県ランキングとその理由
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ガソリン価格はなぜ都道府県で違うのか — 安い県・高い県ランキングとその理由

同じレギュラーガソリンなのに、都道府県が違うだけでリッターあたり13円以上の差がつく。資源エネルギー庁の最新調査データで安い県・高い県をランキングして解説する。

同じレギュラーガソリンなのに、都道府県が違うだけでリッターあたり13円以上の差がつくことがある。満タン40Lで換算すれば約500円。年間で考えると1万円以上の違いになる計算だ。

なぜこんな差が生まれるのか。理由は意外とシンプルで、ガソリンが「どこで作られて、どう運ばれてくるか」に大きく左右される。

ガソリンが安い県・高い県

資源エネルギー庁が毎週公表している「石油製品価格調査」のデータで、都道府県別のレギュラーガソリン価格を確認する。

安い県トップ5

順位都道府県価格(円/L)全国平均との差
1埼玉県185.2円-5.6円
2高知県185.4円-5.4円
3宮城県185.6円-5.2円
4岩手県185.7円-5.1円
5愛知県186.7円-4.1円

高い県トップ5

順位都道府県価格(円/L)全国平均との差
1山形県198.5円+7.7円
2長野県197.8円+7.0円
3鳥取県197.7円+6.9円
4沖縄県196.3円+5.5円
5島根県195.8円+5.0円

※2026年3月16日調査、資源エネルギー庁「石油製品価格調査」に基づく。全国平均は190.8円/L。

最安値の埼玉県と最高値の山形県で13.3円の差がある。たかが13円と思うかもしれないが、毎週給油する人にとっては年間で約2万8,000円の差になりうる。

なぜ価格が違うのか——3つの理由

ガソリン税28.7円/Lや石油石炭税といった税金は全国一律だ。つまり、都道府県による価格差は税金の違いではない。差を生んでいるのは、主に以下の3つだ。

1. 製油所からの距離

ガソリンは原油を精製して作られる。日本の製油所は千葉、神奈川、三重、大阪、岡山、山口など太平洋ベルト沿いに集中している。

精製されたガソリンは中継基地の役割を持つ油槽所を経由し、タンクローリーで各スタンドに届けられる。この輸送距離が長いほど、コストが上乗せされる仕組みだ。

高い県のランキングを見ると、山形、鳥取と日本海側の県や、内陸の長野が上位に並んでいるのはこのためだ。太平洋側の製油所から山を越えて運ぶ分、コストがかかる。

2. スタンドの競争

ガソリンスタンドが多い地域では、隣の店より1円でも安くしようという価格競争が起きる。埼玉県や千葉県のような都市近郊は、幹線道路沿いにスタンドが密集しており、自然と価格が下がりやすい。

一方、過疎地域ではスタンドの数が少なく、競争が起きにくい。近年はスタンドの廃業も進んでおり、選択肢が減ることで価格が高止まりしやすい構造がある。

3. 離島の輸送コスト

離島にガソリンを届けるには船舶輸送が必要になる。当然、陸送よりコストがかかる。長崎県や鹿児島県のほか、沖縄県も離島特有の輸送コストで全国平均を上回っている。

なお、沖縄県には復帰特別措置法に基づくガソリン税の軽減措置があり、本土より3.8円/L安く設定されている。それでも本土から船舶で燃料を運ぶコストがこの軽減分を上回っており、沖縄のレギュラー価格は全国平均より約5円高い。

セルフとフルサービス——同じ通りでも価格が違う理由

都道府県の差だけでなく、同じ地域の中でもスタンドによって数円の差が出る。その大きな要因が「セルフ」と「フルサービス」の違いだ。

なぜ2種類のスタンドがあるのか

日本でセルフスタンドが解禁されたのは1998年。それまではすべてスタッフが給油する形式のフルサービスだった。規制緩和によってドライバー自身が給油できるようになり、人件費を抑えた低価格スタンドが全国に広がった。

現在、セルフスタンドは全体の約4割を占めるまでに増えている。ただし、フルサービスが消えたわけではない。高齢のドライバーや、窓拭き・オイルチェックなどの付帯サービスを重視する層にとっては、スタッフがいる安心感に価値がある。

価格差はどのくらいか

形式特徴価格の傾向
セルフ自分で給油。操作は画面の案内に従うだけフルサービスより3〜10円/L安い
フルサービススタッフが給油・窓拭き・ゴミ回収などを行うセルフより高めだが、サービス込み

この差は主に人件費の違いから生まれる。セルフスタンドは少ない人員で運営できるため、その分をガソリン価格に還元できる仕組みだ。仮に5円/Lの差があるとして、満タン40Lなら1回で200円、月2回給油すれば年間で約4,800円の差になる。

どちらが「正解」というものではない。価格重視ならセルフ、サービスや安心感を求めるならフルサービスと、自分のスタイルに合わせて選べばいい。

高速道路のガソリンはなぜ高いのか

長距離ドライブ中にSA・PAで給油して、一般道より10〜20円/L高い価格に驚いた経験がある人は多いだろう。これにもちゃんとした理由がある。

最大の要因は競争がないことだ。一般道では隣り合うスタンド同士が1円単位の値下げ競争をしているが、SA・PAには基本的にスタンドが1か所しかない。比較対象がなければ、価格を下げる動機も薄くなる。

加えて、高速道路内のスタンドには一般道にはないコストがかかる。高速道路会社へのテナント料、タンクローリーが高速道路を使って燃料を届ける輸送コスト、24時間営業が多いことによる人件費や光熱費——こうした固定費が価格に上乗せされる。

かつてはNEXCOが上限価格を設定していた時代もあったが、2006年の原油高騰でSAの方が一般道より安くなり給油客が殺到する事態が発生。原油高が続く中、上限価格制度ではSAへの安定供給が困難になったため、2008年にNEXCOは上限価格の設定を取りやめた。現在は各スタンドが自由に価格を決めている。

長距離ドライブの際は、出発前に一般道で満タンにしておくか、インターを一度降りて給油する方が確実にお得だ。

給油で少しでも得するコツ

都道府県の価格差は住んでいる場所で決まるため、個人の努力では変えにくい。しかし、スタンド選びや支払い方法の工夫で、同じ地域でも数円の差は出る。

  • 会員カード・提携クレジットカードを使う — 多くのスタンドで1〜3円/L引きになる。よく使うスタンドの会員になるだけで年間数千円の節約になる
  • 価格比較サイトを活用する — 近隣スタンドの価格を事前にチェックできるWebサービスがある。出かける前にひと手間かけるだけで、安いスタンドが見つかることがある

まとめ

都道府県によるガソリン価格の差は、製油所からの距離、スタンド同士の競争、離島の輸送コストという3つの要因で生まれている。税金は全国一律なので、地域差の原因ではない。

自分の県のガソリンが高いと感じたら、それは地理的な宿命とも言える。ただ、セルフスタンドや会員割引を活用すれば、同じ地域の中でもリッター数円の節約は十分に可能だ。浮いた分で少し遠くまでドライブに出かける——それもまた、クルマとの暮らしの楽しみ方のひとつだ。

ガソリンスタンドの数は1994年度の約6万か所をピークに減り続けており、2023年度には約2万7,000か所まで半減した。経済産業省は給油所が3か所以下の市町村を「SS過疎地」と定義しており、全国で372市町村が該当する。