ダイハツ ハイゼット トラック一部改良——スマートアシストに交差点検知を追加
ダイハツがハイゼット トラックを一部改良し3月19日発売。スマートアシストに横断自転車・右折対向車・横断歩行者の3つの交差点検知機能を追加。エクストラにはLEDヘッドランプとADBを標準装備化した。
ダイハツは2026年3月19日、軽商用車「ハイゼット トラック」の一部改良モデルを全国で発売した。予防安全機能スマートアシストに交差点での検知機能を3項目追加し、エクストラグレードにはLEDヘッドランプとADBを標準装備化。1960年の誕生から累計485万台を超えるロングセラーが、安全性能をさらに一段引き上げた。
スマートアシストに3つの交差点検知機能を追加
今回の改良で最も注目すべきは、スマートアシストの対応領域が交差点にまで広がった点だ。
追加されたのは以下の3機能。
- 横断自転車の検知——車両前方を横断する自転車をステレオカメラが検知し、衝突の危険がある場合に警告とブレーキ制御を行う
- 交差点右折時の対向車検知——右折時に対向車線を直進してくる車両を検知し、衝突回避を支援する
- 右左折時の横断歩行者検知——右折・左折時に対向方向から横断してくる歩行者を検知し、衝突回避を支援する
いずれも交差点で発生しやすい事故パターンに対応するもので、とりわけ自転車との接触リスクへの対応は時宜にかなっている。警察庁の交通事故統計でも、自転車絡みの事故のうち「交差点安全進行義務違反」は主要な違反類型のひとつとなっている。2026年5月施行予定の改正道路交通法でも、自動車と自転車の交差点における関係が見直される。
ハイゼット トラックは2025年2月の仕様変更で全車にスマートアシストを標準装備した。そこからわずか1年で交差点対応を追加した格好で、ダイハツが安全機能のアップデートを止めていないことがわかる。
エクストラグレードにLED灯火類を標準装備
安全装備の強化に加え、エクストラグレードの照明まわりも充実した。
| 装備 | 機能 |
|---|---|
| LEDヘッドランプ | ハロゲンからLEDへ変更。夜間の視認性と被視認性が向上 |
| ADB(アダプティブドライビングビーム) | ハイビーム走行時に対向車・先行車の部分だけを自動で遮光し、相手を眩惑させずに広い視野を確保 |
| サイドビューランプ | ステアリング操作に連動して左右の側方を照らす補助灯。交差点や狭い路地への進入時に路面状況を把握しやすくなる |
ADBとサイドビューランプは、農道や照明の少ない郊外路を走る機会が多い軽トラックにとって実用的な装備だ。とくにADBは手動でハイ・ロービームを切り替える手間がなくなるため、夜間の運転負荷を確実に減らしてくれる。
背景——累計485万台のロングセラーが見据える先
ハイゼット トラックは1960年にダイハツ初の軽四輪車として誕生した。以来65年以上にわたって農林水産業を中心に「働く相棒」として使われ、累計生産台数は485万台を超える。現行型は2014年登場のS500/S510系で、2021年12月の大幅改良でDNGAプラットフォームとCVTを採用している。
軽トラック市場は現在、ハイゼット トラックとスズキ キャリイの事実上の二択となっている。ホンダ アクティ トラックが2021年に生産を終了して以降、この構図は固定化された。
競合のキャリイは2026年1月にビッグマイナーチェンジを実施し、フロントデザインの刷新やデジタルメーターの新採用、新世代の衝突被害軽減ブレーキであるデュアルセンサーブレーキサポートIIの搭載、LEDヘッドランプとパーキングセンサーの全車標準装備化など、大幅に商品力を引き上げた。
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今回のハイゼット トラックの改良は、キャリイの攻勢に対するダイハツの回答ともいえる。デザインの刷新こそないが、交差点での3つの検知機能はスマートアシストの対応範囲を着実に拡大するもので、「働くクルマ」の安全を地道に底上げする姿勢が見える。
グレード構成と価格
ハイゼット トラックは6グレード構成で、それぞれ2WD/4WDと5MT/CVTの組み合わせが選べる。
| グレード | 2WD・5MT | 2WD・CVT | 4WD・5MT | 4WD・CVT |
|---|---|---|---|---|
| スタンダード | 109.45万円 | 114.95万円 | 122.65万円 | 130.35万円 |
| スタンダード "農用スペシャル" | — | — | 125.4万円 | 133.1万円 |
| ハイルーフ | 111.1万円 | 116.6万円 | 124.3万円 | 132万円 |
| エクストラ | 130.9万円 | 136.4万円 | 146.3万円 | 151.8万円 |
| ジャンボ スタンダード | 125.95万円 | 131.45万円 | 139.15万円 | 146.85万円 |
| ジャンボ エクストラ | 141.9万円 | 147.4万円 | 157.3万円 | 162.8万円 |
※メーカー希望小売価格(税込)。スタンダード"農用スペシャル"は4WDのみの設定。
エントリーのスタンダード 2WD・5MTが109.45万円から、最上位のジャンボ エクストラ 4WD・CVTが162.8万円まで。キャリイのスタンダードが117.26万円からであることを考えると、エントリー価格ではハイゼット トラックに約8万円の優位がある。
ハイゼットの車名は、1957年に登場したダイハツの三輪車「ミゼット」に由来する。"Hi"(高い・大きい)を冠して四輪車への進化を表現した造語で、1960年の初代から66年間一貫して使われ続けている。同じ車名を60年以上名乗り続ける軽商用車は、日本ではハイゼットとスズキ キャリイくらいだ。


