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ZR-V マイナーチェンジ 2026 — ガソリン廃止でe:HEV専売に。価格・変更点を解説
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ZR-V マイナーチェンジ 2026 — ガソリン廃止でe:HEV専売に。価格・変更点を解説

ホンダ ZR-Vがマイナーチェンジで1.5Lガソリンターボを廃止し、e:HEV専売に。エントリー価格は約370万円へ。新グレード CROSS TOURINGの装備やパワートレイン統一の背景、競合との立ち位置を整理した。

ホンダ ZR-V マイナーチェンジ——ガソリンモデル廃止、e:HEV専売で何が変わるか

ホンダは2026年3月下旬、ZR-Vのマイナーチェンジモデルを発売する。最大の変更点は1.5L VTECターボのガソリンモデル廃止だ。全グレードが2モーターハイブリッドのスポーツe:HEVに一本化され、新たにアウトドア志向の特別仕様車 CROSS TOURING も加わった。

ZR-V e:HEV Z BLACK STYLE エクステリア
出典: Honda

約295万円から始まったSUVの転換点

2023年4月に約295万円で登場したZR-Vは、ヴェゼルとCR-Vの間を埋めるホンダの第3のSUVだった。しかし発売から3年の間に2度の価格改定を経て、ガソリンモデルのエントリー価格は約328万円まで上昇。そして今回のマイナーチェンジで、ガソリンモデルそのものが姿を消した。

新たなエントリーグレードはe:HEV Xで、推定価格は約370万円から。旧ガソリンXと比較すると約41.5万円の上昇になる。ただしe:HEV同士で比べると、旧e:HEV X FFの約363万円から約6.6万円の値上げにとどまる。価格上昇の本質は、ガソリンという選択肢がなくなったことにある。

パワートレイン統一がもたらすもの

廃止された1.5L VTECターボの最高出力は178PS、最大トルクは24.5kgm。対するスポーツe:HEVのモーター出力は184PS、最大トルクは32.1kgmだ。数値上はe:HEVが全面的に上回る。特にトルクは約31%増。発進時や追い越し加速で差が出る領域だ。

燃費差はさらに大きい。ガソリンターボのWLTCモード燃費14.6km/Lに対し、e:HEV Xは22.1km/L。約51%の向上になる。年間1万km走行、レギュラー170円/Lで試算すると、年間の燃料費差はおよそ3万円。5年で約15万円の差額は、e:HEV化による価格上昇を一部吸収する計算だ。

もっとも、ガソリンターボには低回転からの直線的なレスポンスという持ち味があった。モーター主体で走るe:HEVとは加速フィールの性格が異なる。スペックシートに現れない走りの質感を重視するオーナーにとって、選択肢が消えた意味は数値だけでは測れない。

ZR-V e:HEV Z CROSS TOURING エクステリア
出典: Honda

CROSS TOURING——もう1つのZR-V像

新設されたe:HEV Z CROSS TOURINGは、ZR-Vにアウトドア志向の表情を加える特別仕様車だ。マットグレーメタリック仕上げのハニカムパターンフロントグリルは北米仕様HR-Vと共通のデザイン言語を持つ。専用フロントバンパーやフロントロアーガーニッシュ、サイドアンダースポイラーが都市型SUVとは異なる存在感を演出する。

インテリアではグレージュ内装にオレンジステッチの本革シートを組み合わせた。専用ボディカラーのデザートベージュパールも含め、キャンプやスキーといったレジャーシーンを意識した仕立てだ。推定価格はFF約453万円、4WD約473万円。ZR-Vの最上級モデルとなる。

Google搭載Honda CONNECTと安全装備

インフォテインメントも刷新された。9インチのHonda CONNECTディスプレーにはGoogleが組み込まれ、Google マップによるリアルタイム交通情報対応ナビ、Google アシスタントによる音声操作、Google Playからのアプリ利用が可能になった。e:HEV Z以上のグレードでは標準装備、e:HEV Xではメーカーオプションとなる。

安全面ではHonda SENSINGに急アクセル抑制機能が全グレードで追加された。踏み間違いによる急発進事故の軽減を狙った機能で、販売店での設定作業が必要となる。一方、上位モデルのCR-V等に搭載されるHonda SENSING 360やヘッドアップディスプレイは今回も非採用だ。

なぜホンダはガソリンを切ったのか

背景にあるのはホンダの電動化戦略だ。2021年に三部敏宏社長が掲げた2040年EV・FCV比率100%の目標は、世界的なEV需要の減速を受けて軌道修正されている。2025年以降はe:HEVの開発リソースを強化する方針に転換。2027年から4年間で小型から大型まで13車種のHEVを世界投入する計画が発表された。ZR-Vのe:HEV専売化は、この路線の具体的な一歩だ。

日本市場ではe:HEVの販売比率が高く、同じホンダのヴェゼルでもHEV比率が大半を占める。生産ラインの効率化やサプライチェーンの最適化という観点からも、パワートレイン統一には合理性がある。なお、北米ではZR-Vに相当するHR-Vが2.0Lガソリンエンジンで販売されており、地域ごとに戦略を使い分けている。

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競合環境の中で

e:HEV専売化による価格上昇は、ZR-Vの競合関係にも影響する。エントリー価格約370万円は、トヨタ カローラクロスHVのボリュームゾーンやマツダ CX-30の上限価格帯を超える。300万円台前半でSUVを探していた層にとって、ZR-Vは選択肢から外れる可能性がある。

一方でシステム出力184PS、WLTCモード燃費22.1km/Lという性能値は同クラスで高い水準にある。上質な走りと燃費性能を両立したいユーザーには、価格に見合う説得力がある。ZR-Vは「手頃なSUV」から「上質なe:HEV SUV」へとポジションを移した。ガソリンという選択肢を手放した代わりに、このクルマが何を得たのか。その答えは、走り出せばわかるはずだ。

ZR-V e:HEV Zのイメージイラスト

スペック・価格まとめ

パワートレイン

項目スポーツ e:HEV
エンジン2.0L 直列4気筒 DOHC i-VTEC
エンジン出力145PS / 6,200rpm
エンジントルク175Nm / 4,000rpm
モーター出力184PS / 5,000-6,000rpm
モータートルク315Nm / 0-2,000rpm
燃費 WLTCモード21.5〜22.1km/L

車両サイズ

項目
全長4,570mm
全幅1,840mm
全高1,620mm
ホイールベース2,655mm
最低地上高190mm

グレード別推定価格

グレードFF4WD
e:HEV X約370万円約393万円
e:HEV Z約430万円約453万円
e:HEV Z BLACK STYLE約448万円約468万円
e:HEV Z CROSS TOURING約453万円約473万円